<総括質疑> 平成21310日(火)

 1 埼玉県社会福祉事業団の状況について

 2 小中高等学校における理科教育の充実について

 3 埼玉県妊婦健康診査支援基金を活用した事業について

浅野目義英委員 おはようございます。民主党・無所属の会所属の浅野目でございます。

 先ほどの鈴木委員さん、5年ぶりの質問とお話しになられていらっしゃいましたけれども、私は初体験でございますので、分からないことがたくさんありますけれども、緊張感を持ちながら、議員としての野性を持ちながら、知事部局と私どものそれぞれ重なる領域に意識がとんと落ちていけばいいかなと思って、三つ質問を用意させていただきましたので、今日はよろしくお願いいたします。

 それでは早速ですが、質疑通告を出させていただいております1点目、埼玉県社会福祉事業団の状況について、常勤職員さんと非常勤職員さんそれぞれの職員総数に占める割合について、過去5年間の推移を伺いたい、このように思います。よろしくお願いします。

谷古宇勘司委員長 上田清司知事。

◎知事 数字ですので、正確を期すために部長から答弁させてもらいます。

谷古宇勘司委員長 石田義明福祉部長。

◎福祉部長 お答え申し上げます。

 社会福祉事業団の常勤職員と非常勤職員の割合の推移でございますが、平成16年、合計で795人のうち、常勤が590人の74.2%、非常勤が205人の25.8%。平成17年、合計777人のうち、常勤が70.8%、非常勤が29.2%、平成18年、796人に対しまして、常勤が60.3%、非常勤が39.7%。平成19年が、788人のうち、常勤が60.9%、非常勤が39.1%。平成20年、806人のうち、常勤59.6%、非常勤40.4%でございます。

浅野目義英委員 この社会福祉事業団10施設、何も知らないので質問すると言われると悔しいし恥ずかしいので、このうち半分ぐらい、私一人で歩いてきました。それで、まず基本的な認識なんですが、自治体の常勤職員が加速度的に減っている。08年4月時点の地方公務員の数は約290万人、95年に比較すると38万人も減っている。一方、非常勤の職員さんは現在約50万人、05年から4万人も増えている。これは、去年の12月の予算委員会での鳩山大臣の発言ですが、「三位一体改革などで職員採用が抑制されたことに伴い、業務を人件費の低い臨時、非常勤職員でしのいできた現実がある」、これは長い年月をかけてこのような現象が起きたのではなくて、あっという間に起きてしまったと私は思っています。

 時代の要請で、行政改革は進みました。これは当時、誰も否定しませんでした。職員定数を削減して、効率的な行財政運営を図ってきた。大部分の方が賛意を示してきました。

 しかし、質問の2点目ですが、非常勤職員さんの職員総数に占める割合が50%に激しく近づき、また、私が今申し上げた10の施設の中に、4施設も50%を突破しているというこの現状、これは知事はどういうふうにとらえていらっしゃるか、お願いします。

◎知事 先ほど公務員の世界の話をされました。例えば生徒の数は半分になりましたけど、教師の数はそのままの数です。教育重視ということで、人に対する重視をしておりますが、一般の公務員の数は、大体ここ6年、7年で地方公務員が10%ぐらい減って、国家公務員が3%しか減っていないという状況です。私は、大いに減っていいのではないかという認識を持っております。公務員の世界には無駄が多い、これは一般的に民間から言われて、私はそれを率直に受け止めて、無駄の部分を排する動きをしております。

 同じように県の出資法人においてもですね、改革の機運がみなぎって、しかるべきところに人を集中的に配置して、そしてそうでないところには非常勤の職員などを補うという形で、それぞれレベルを変えながらやっておりまして、一律に全部減らすというようなことではなく、中枢的な業務には、どちらかというと法令に定める基準以上に職員を配置して、そうでないところは非常勤でカバーしながら、全体としての経営をアップさせるというような考え方に立っております。

 ただ、幾つか課題があります。後で御指摘があるかもしれませんが、我々がやはり一番気にしているのは、そういう中枢的なところに人を配置してカバーしているつもりでもですね、団塊の世代の退職者をカバーするほどの中堅、ベテランの方々がいないこととか、あるいはよりできる方ほどスカウトされやすいですから、条件のいいところにスカウトされて、それをカバーするだけのものがなかなかできないような状況になり得る、あるいはなっているということについては危ぐをしております。

 以上でございます。

浅野目義英委員 先ほども申し上げましたけれども、知事部局と私の考え方のお互いの領域で落ちるところがあればいいというふうに思っています。認識としてはですね、行政改革が進み、議会改革が進み、行政職員さんの定数が減り、そして議員の数も減るということに私も強い称賛を持っていた、私の政治的な時代がございました。

 しかし、今申し上げましたとおり、時代の大きなうねりの中で変わりつつあってですね、私が言っている職員定数が減ることについては賛意を示しますけれども、簡単に言うと、常勤職員さんは必要な人材ですか、必要な人材です。非常勤職員さんは必要な人材ですか、必要な人材です。共に必要な人材。しかしながら、後者にかかるレートが、人数の意味からすると増えてきている。しかし、知事お気付きのとおり、処遇面、待遇面、給与面、圧倒的な差がある。

 こういった二層構造の中で、市民サービス、県民サービスに同じように立ち向かっていかなければいけないという状況の中で、次の質問をさせていただきたいんですが、この非常勤職員さんが増えるという意味では、時代の要請だから必要なのかもしれない、知事のおっしゃるとおり。しかし、モチベーションといいますか、意欲の低下、こういうことが直結する現象が起きるのではないかと、私はこのように心配します。この点についてお答えください。

谷古宇勘司委員長 上田清司知事。

◎知事 中枢業務と補足的な業務という形で、分かれた形での常勤と非常勤では、そういう意味でのモチベーションに差が極端に出るとは思いませんが、常勤職員と非常勤職員で同じような中枢的な業務をやっていると、おのずからですね、モラルの面でダウンをしていく可能性は十分あるというふうに思います。

浅野目義英委員 だんだんと落としどころに近づいてきたと思いますけれども、常勤職員さんと非常勤職員さんの立場、これがですね、常勤職員の補助的な役割という意識が正に強ければ、その意識はぼっ興してこないと思いますけども、この意識に対する処遇面において、常勤職員との格差が意識として出現してきていのではないかというふうに思います。

 特にですね、先ほど申し上げました非常勤職員の割合が50%を超えている4施設のうち3施設が児童養護施設、こういう現象があります。この理由は何なのか、そしてまた処遇上の問題がないのか。待遇、処遇、私、このことをさっきから何度も言っているんですけれども、ちょっとお願いします。教えてください。

◎知事 今申し上げましたように、中枢的な業務を補佐する、あるいはその周辺の部門の仕事をしている方については、特に問題はないと思います。むしろ中枢の仕事に準用するような仕事をしているような方々について、同じような仕事をしているのに給料に差があるのはいかがなものかとか、こういう思いを持たれる場合は十分あると思います。それで採用されたにしても、それを納得の上で採用に甘んじた立場であってもですね、そういう思いを持つのは、私も学生のときアルバイトをしていて、社員以上に働いたような記憶があるのに、随分社員のほうが楽だななんと思ったこともありましたので、そういうことでないようにですね、そういう立場の人たちには職員登用試験を内部で実行しておりまして、意欲のある非常勤職員には、常勤の登用の道を確保しております。

 例えばこうした常勤職員のうちですね、平成20年で言えば、30人採用したうちの中の18人、これは60%になりますが、一般応募が12人で、非常勤職員からの18人が多くなるというような形でですね、そういう道をきちっと用意をしながらやっていけば、そういう意味でのモラルダウンが最少限度抑えられるのではないかというような考え方を私自身は持っております。

浅野目義英委員 多様な人材の採用の中では、非常勤の職員さんでも実績に応じて経験者として常勤に採用する道をもう既に考えているということですよね。ありがとうございます。

 それで私は、加速度的に進んでいる、非常勤職員さんのウエイトが急速に進んでいる中では、今のような知事の考え方が本当にあって当然だと思うんですね。そして、俗っぽい言い方ですけども、格差社会、格差社会、これを語る資格は、やっぱり県庁内の常勤職員、非常勤職員の問題をないがしろにしては語る資格がない。モデルを一層進めてほしい。つまり正規職員に登用する道から外れた人でも、処遇、待遇、例えば今はどうなんでしょうね、これはつまびらかにお答えいただかなくて結構ですけれども、知事、多分盟友でいらっしゃる西川太一郎先生の荒川区では、見直した休暇など、非常勤職員の方でも夏季休暇、病気休暇、慶弔休暇、介護休暇、それから子どもの介護休暇など少しずつ増やして、そして二層的にある常勤職員さん、非常勤職員さん、こうではなくて、非常勤職員さんもモチベーションが上がるように、多層的に、より一層常勤職員さんに近いような立場をつくっていらっしゃるということです。この問題については、最後でいいですので、そういった考え方についての知事のお考え、最後に示してください。

◎知事 私も、それが理想だというふうに思っております。

 ただ、場所によっては若干、全部が全部というわけにはいかないかもしれませんが、基本的にはそういう方向が望ましいと思っております。

浅野目義英委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 次に通告をさせていただいておりますのは、中学校の理科教育ですね、昨日、諸井委員さんが英語についてやられました。今日は理科なんですが、実は知事、また教育長、先刻御承知のとおり、2年前に実施されたOECD生徒の学習到達度調査、PISAでは、日本の子どもたちの科学、サイエンスに対する関心の低さが明々白々になってしまった。そして、去年1210日公表された国際数学・理科教育動向調査、TIMSS、これでも理科が「楽しい」と回答した日本の中学生の割合は、他諸国に比べて国際平均を下回ったという現実です。

 こういう現実についてですね、子どもたちの理科離れが進んでいるとよく言われますが、授業時間数や、また児童生徒の理解度について、現況の埼玉県の教育をつかさどるトップとしての御認識を教えてください。

◎教育長 今、委員が言われたような意味で、我が国の児童生徒の理科離れといいますか、理科が楽しいというような比率が、非常に国際比較の中では低くなっているという状況がございます。ただいま御引用されましたTIMSSの調査においてもですね、2007年TIMSSの調査の結果が出ておりますが、小学校については、国際平均83%に対して、小学校4年生は我が国は87%、小学校においては上回っております。中学校では、国際平均78%に対して、我が国は中学2年生59.0%と低い状況でございます。

 ただ、本県でも小中学校の学習状況調査において、理科が好きかどうかというような調査をしておりますが、これについても、中学2年生は数字としては60.3%で余り変わらないんですけれども、前年の調査に比べますと4.2ポイントの増加ということで、状況的には、傾向としてはやや持ち直しているというような認識を持っております。

 しかしながら、今委員御指摘のような状況も踏まえまして、新しい学習指導要領では、理科教育の充実というのが図られているわけでございまして、時数の関係でございますが、小学校では理科の授業時間数は、平成21年度は第3学年から第6学年までの4学年間で55時間増加をして405時間になる。また、中学校では平成21年度以降段階的に増加し、平成23年度には3学年間で95時間増えて385時間になるというようなことで、理科の授業時数については充実が図られるということで方向が出され、現実に実行に移されることとなっております。

 また、児童生徒の理解度について、これについてはなかなかそうした県内の状況を調べる調査等ぴったりのものはないんですが、県において小中学校学習状況調査を実施しておりまして、その結果では、平成20年の理科の成績でございますが、小学校の第5学年は正答率が70%、中学校第2学年、それから中学校の第3学年では正答率が65%を超えた状況となっております。こうした調査は一つの目安ではございますけれども、今後ともこうした調査においても、更に正答率が高まるように、個々の児童生徒のつまずきに対応して改善するような指導を現場において行っていただくよう、学校における学習指導の充実を支援してまいりたいと考えております。

浅野目義英委員 今、教育長さんからですね、新学習指導要領、それは前倒しがあるので、当然理科の授業数って増えるんですね。ゆとり教育に対する反省も込めて、週1回程度増えるという部面が確かに存在すると思うんですが、そしてまた理解度もですね、実によく分かったというような数字が判定されるのはなかなか困難だけどというまくら言葉もありましたけれども、現実的にはですね、既に執行部の皆さん、また委員の皆さん御案内のとおり、まちの中にはサイエンススクール、理科教室、実験教室、あまたの数ですね。企業、それから理系大学、自治体、あと学習塾、予備校、こういったところでかなりの市場が存在をしていて、市場が存在しているということはディマンドがあるからで、それぞれすごい数ですね。各自治体でも理科教室は開いていますし、各大手予備校、また中堅予備校の初等部、中等部、高等部でも理科教室は盛んな勢いです。テレビでも理科番組はかなりやっています。そしてまた、通信教育などを主体に行っている企業などでも、理科教室は繁盛をしているということです。

 つまり、公的学校における理科教育に対する不満がかなり内在しているのではないかというふうに思われます。私の友人の理科の先生などに聞いてもですね、自分はほかの自治体や企業などで主催しているサイエンススクールはかなりおもしろいと思うけど、自分がやっている理科の授業はそんなにおもしろくないのではないかと、こんなことも、代表的な意見ではないかもしれませんですけど。現在、自治体、理科系大学、塾などが子ども向けの実験教室を相当数開催しているが、県において理科に対する関心を持たせる取組はどのようなものがあるのか、教えてください。

◎教育長 本県における取組でございますが、小中学校を対象として理科に対する関心を持たせる取組ということでは、県立総合教育センターが中心となって実施しておりますウェークエンド・サイエンスラボ事業という事業がございます。この事業は、科学教育ボランティアが講師となりまして、光のマジックとか燃料電池などの科学体験講座を一つの会場で20講座以上そろえて開設して、実施している事業でございます。平成20年度、9会場で合計4,450人の小中学生と保護者の参加がございまして、科学に関する興味、関心を高め、それからまた保護者への理科教育に関する啓発ということをねらいとして実施しているものでございます。

 また、県においては教育課程編成要領などを作りまして、新しい学習指導要領に対応しようということでございますが、そうした中で具体的な指導例を示しまして、小中学校が博物館とか科学館とかといった学校以外の場との連携についても紹介をしながら、授業の充実に取り組むように促しているような状況でございます。

 また、高校では、小中高連携して実施する「『科学大好きスクール』コラボレーション」、そうした事業を実施をしております。本年度は、埼玉大学において約1,300人の来場者を集めまして開催をいたしましたが、主に理科に力を入れている高校を中心に、高校生が理科に関する取組成果を発表し、小中学生を対象にした科学実験教室等を実施しております。

 また、高校についてでございますが、文部科学省の委嘱事業でございますが、サイエンス・パートナーシップ・プロジェクトに24校の本県の高校が、またスーパーサイエンスハイスクールに4校の高校が取り組んでいるところでございます。この事業につきましては、文科省に対してこうした研究内容で生徒たちが研究をするんだというような内容を示しまして、手を挙げて応募するわけですが、それについて今言ったような24校、それからスーパーサイエンスハイスクールでは4校が採択されているわけでございますが、全国的に比較しまして極めて高い採択率で実施をしております。また、パートナーシップ・プロジェクトについては、具体的な大学とか研究機関などと連携をして実施をしております。いろんな意味で、例えば高校ではできないようなDNA関係の実験とか、ロボット製作などを大学生とか研究機関と一緒になってやることができるということでございます。こうしたことについては、今後ともより一層促進をしてまいりたいと考えております。

浅野目義英委員 だんだん時間がなくなってきまして、スピード感を持ってやりたいと思いますが、学校現場が外の刺激のあるものについての認識は持っているんですよね。今、教育長お話しになられたとおり。学校の中だけではもう駄目なんですよ、私見ですけども。

 ですから、その外の刺激のあるものについての認識をかなり持っている。しかし、滝から水がちょぼちょぼ出るぐらいな感じで今、外とのコミットが進んでいるわけです。これをもうちょっとですね、垣根を取り払えないかというのが私の質問の趣旨なんです。

 今ですね、もう一回言って大変恐縮ですけど、現場は理科実習における型の古い実験器具が多い。それから現場の声ですけど、準備、後片付けの負担が大きい。これを改善するために、器具、薬品薬剤の予算をもうちょっと増やせないのか。それから、いろんなものは準備されているけれども、正にTTでそれを、教育長さっきもちらっとおっしゃいましたけど、支援教員のようなものがもっと配置できないのか。これが大きな私の質問ですね。あともう一つ、教員自体の研修というんですかね、トレーニングというんですかね、これをもっとできないのか。ちょっと教えてください。

◎教育長 各事業において外部との関係といいますか、連携というのは強めるように今努力をしているところでございます。先ほどのサイエンスラボ事業等についても、その講座の中に民間の講師等の起用について積極的に考えていきたいというふうに考えております。

 また、例えば理科の教員が実験等を行う場合に、準備とか後片付けとか非常に負担も大きいわけでございますが、そうしたことについて、平成19年度から文科省のほうで、小学校の理科支援員配置事業というのを制度化をいたしまして、本県においても実施をしているところでございます。19年度から配置事業を行っておりますが、本年度は150校に理科支援員が配置されております。これらについては、派遣されている人材については、地域の保護者等が4割ぐらい、また大学生、大学院生が3割、退職教員が2割で、また企業関係者、退職者も含めますが1割というような状況でございますが、こうしたことについても、今委員御指摘のような趣旨で、外部の方についても積極的に働き掛けるなどPRしてやってまいりたいと考えております。

浅野目義英委員 教育長、器具、薬品などの予算を増やしていくかどうか、ないですが、答弁の中には。

◎教育長 失礼しました。

 実験器具などの設備整備については、国庫補助制度がございますので、それを活用して進めているところでございます。それから実験に使用する薬品等教材費につきましては、これは小中学校の場合には、市町村が予算措置をするような仕組みとなっております。もちろん県立高校については、県が整備でございます。そうした関係については、市町村に対して事業の周知に努めるとともに、国に対しても補助の充実について要望を行ってまいりたいと考えております。

 ただ、補助でございますので、あるいは先ほど小学校の支援員についてお話ししましたが、中学校については、本県から2分の1補助でそうした中学校の理科実験ボランティアの配置事業を実施しておりますが、そうしたことについて2分の1の県措置がありますが、市町村の負担を準備しなくてはなりませんので、なかなか実現しがたい状況がございますが、そうしたことについても市町村に理解を求め、促していきたいと思っております。