<部局別質疑:教育局> 平成28316日(水)

 1 特別支援教育の推進について

 2 学科再編等推進費について

 3 高等学校入学志願者選考費及び指導内容研究推進費について

浅野目義英委員 

 民主・無所属の会の浅野目です。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、3つの部面について質疑をさせていただきたいと思っております。

 最初に、平成28年度当初予算案における主要な施策、総括2ページ、(7)特別支援教育の推進についてでございます。

 県立入間わかくさ高等特別支援学校についてなんですけれども、平成28年度の埼玉県立特別支援学校高等学園・高等部職業学科・高等部分校全体の本年度の募集人数は228人、入学選考受験者数は319人、競争倍率は1.40倍でした。昨年度の競争倍率が1.70倍だったことを考えると、まだまだ十分ではありませんが、一定程度緩和されたのではないかと思われます。

 さて、埼玉県立入間わかくさ高等特別支援学校が旧入間高等学校跡地に本年4月、いよいよ開校いたします。入学式はもう間もなく、暖かくなったころ4月8日と聞いております。知的障害のある生徒が学ぶ高等部単独の特別支援学校、学校目標「私たちはもっと輝く。力強く社会へ。」です。この学校は、普通科を持つだけではなくて、職業学科も併設しております。

 さて、期待を集めて開校にこぎつけた入間わかくさ高等特別支援学校ですが、予想に反して、競争倍率が低かった。特に、職業学科のほうの競争倍率が思うような高さにならなかったということですが、いかがですか。

◎教育長 

 こちらもちょっと想定以上に集まらなかったということがありますが、これについては1つ原因として思われるのが、欠員が生じたのが流通・サービス科というところなんですが、ここではパソコン操作を中心とする事務作業とか、商品管理等を想定した作業というのを行っていくところなんですが、県内初の学科で、なかなかイメージが浸透できなかったのかなというところでは、ちょっとこちらが思っていたほど子が集まらなかったというところはあるかなというふうに思っております。

浅野目義英委員 

 この職業学科に今、教育長がお話しなられたとおり、生産技術科と流通・サービス科というのがあるんですね。特に、後者の流通・サービス科という新しい名前の科ですけれども、ここの科の倍率が想定外というふうに教育長言ってらっしゃいましたけれども、低かった。

 この学校については、昨年度の6月定例県議会で、この学校の設置が条例改正の下、決まりました。私も県議会議員として、この議案に賛意を示しました。教育局の提案では、県西南部地域を中心とした児童生徒増へ対応するためといった説明が当時ありました。滑り出しがいかにも悪過ぎるんじゃないかなと思えてなりません。生徒募集の説明会などに工夫が必要ではなかったのか、いかがでしょう。

◎教育長 

 工夫して説明してきたつもりではあるんですが、現実として4名の欠員が生じております。今後、受験を予定する生徒や保護者に対して、また、中学校又は特別学校の中等部とかに対して、学校説明会とか見学会、それから体験入学等、様々な工夫をいたしまして十分な情報提供に努めながら、特に今回初めての学科だったものですから、就労実績というものが出ていないものですから、そういう部分もちょっとマイナスな要因だったと思うんですが、ここに入ることによって就労もきちんとできると、そういうところもきちんと理解していただけるように情報提供、また情報の共有に努めてまいりたいと思っております。

浅野目義英委員 

 こういった子供たちが、卒業後の生活を見据えたキャリア教育の取組を更に進めなければいけないと私は思います。委員各位もそう思っているはずです。一人一人の社会的・職業的な自立を考えて、必要となる能力や態度を育てることを通じて、キャリア発達を促す教育をより充実させてほしいと私は思います。

 巨費を投じてつくった理想ある学校、しかしながら、想定外にという言葉が使われておりますけれども、定員割れという残念な結果になりました。議員として、委員としてここでやっぱりきちっと言っておかなければいけないと思いますので、お話をさせていただいたわけですけれども、時代の要請に応えた今後の特別支援学校の多様な学科の新設に影響があるかを含めて、教育長、お答えください。

◎教育長 

 特別支援学校の卒業生の就労支援というんですか、高等部、また、こういうところの職業科を出てから、きちんとして社会へ出て働けるという子供たちをつくっていくということについては非常に大事ですし、こういった需要があるというふうに考えて学校をつくっておりますので、今後、こういうことのないように、きちんとした情報提供して、生徒募集も励んでまいりたいと思いますし、また、この教育内容もより一層充実させて、魅力のあるものにしていきたいと思っております。

浅野目義英委員 

 ありがとうございました。

 それでは、次にいきます。

 歳出予算の事業概要、教育局関係の26ページ、学科再編等推進費について伺います。

 日本が国際競争力を回復し、十分な経済成長を遂げるためには、高等学校における理数教育の重要性があるという認識に立って質疑をいたします。

 現在、埼玉県立高等学校における理数科の設置状況について示してください。

◎教育長 

 現在、理数科を設置する県立高校は4校ございまして、具体的には大宮高校、熊谷西高校、越谷北高校、それから松山高校の4校です。それに平成28年、この4月からは県立高校として5校目となる所沢北高校に理数科を設置する予定でございます。

浅野目義英委員 

 今、教育長からお話を賜りましたこれらの学校に設置されている理数科の入学選考受験の競争倍率を示してください。

◎教育長 

 まず、具体的に5校申し上げます。大宮高校は2.73倍、熊谷西高が1.50倍、越谷北高校が1.63倍、松山高校が2.15倍、この新設の所沢北高校は2.40倍で、理数科全体では2.08倍となっております。

浅野目義英委員 

 一般的な普通科に比べると、いずれも高い倍率、大量の不合格者が出ているはずですけれども、この不合格者の救済措置はいかがなっているでしょうか、答えてください。

◎教育長 

 理数科を設置している高校は、普通科も併設しておりますので、同一校で他学科への第2志望というのを認めておりますので、落ちた人全員ではないんですが、理数科を落ちた方が普通科に入ったという形の方々もいらっしゃいます。

浅野目義英委員 

 分かりました。

 これらの理数科では、どのような実績が上げられているんでしょうね。大学入試の成果などは、そういうのはいいです。高等学校3年間の理数科の実績、ちょっと時間がないので、主なものだけでいいですから、教えてください。

◎教育長 

 国内外のコンテスト等で優秀な成績を上げておりますが、例えば国内では日本学生科学賞で内閣総理大臣賞や環境大臣賞を受賞していますし、国外では国際学生科学技術フェアへの出展とか国際学術誌「Genome」に論文が掲載されるなどの、内外問わず活躍をしております。

浅野目義英委員 

 埼玉県立高等学校に理数科が設置されていて、我が国内外で活躍できる医療とか科学技術系の人材がもう育っているということは、先ほども言いましたけれども、国家の発展のためには一層望まれることではないかなというふうに思います。

 しかし、一面、静岡の県立高等学校における理数科の充実に努力が払われているという点は、埼玉県立高等学校の比ではないんですね。認識をされていますか。そしてまた、今後の埼玉県教育局の考える理数科の設置の展開を述べてください。

◎教育長 

 お話の静岡県ですが、確かに理数科をたくさん設置しております。埼玉県よりも非常に多いです。それは認識しております。ただ1つ、埼玉県の何というんですか、宣伝をさせていただけると、理数科は5校と少ないんですが、スーパーサイエンスハイスクールは埼玉県のほうが多いですので、ひとつ紹介させていただきます。

 そのほかに、埼玉県の中では公立で今後、見込みなんですが、1つは大宮北高校に理数科が開設されました。それから、30年度に開設予定の川口市の市立の学校ですね、3校が1つになるという、この学校にも理数科が開設されるというふうに伺っております。そういった面では、理数教育の環境づくりというんですか、埼玉県全体では広がっているかなというふうに思っています。

 今回、所沢北高校に理数科を設けることで、県全体の中のバランスはかなり良くなってきたかなというふうには思っています。ただ、今後、理数科は非常に倍率も高いですし、非常に大事なところでもございますので、これからの全体の動向、それから他県の動向とかを含めて見ながら、今後のところの展開は研究してまいりたいというふうに思っております。

浅野目義英委員 

 ありがとうございます。

 ちょっと時間がもう迫ってきましたので、最後の質疑に入らせていただきます。

 歳出予算の事業概要、教育局関係の24ページ、高等学校入学志願者選考費、それと13ページの指導内容研究推進費、この2つの部面にわたるのですが、よろしくお願いいたします。

 さて、平成29年から埼玉県立高等学校の入試改善が実施されます。難関校は別問題になるとか、理科、社会が40分から50分になるとか、多くは申し上げません。既にもう何度もやっていることです。これは、平均点が低い科目が、著しく低い科目がある。それから、手も触れることのできない無答率の問題が出ている。それから、正答率が低い、課長が委員会で「やらなくてよかった問題」と思わず言ってしまうような実態もあったので、改革が進められたということですから、評価をしたいと思います。

 その課題の、いろんな課題がこういうふうにありますよという中の一つに、私が大変驚いたのは、入試結果は、英語についてはほぼきれいな、横軸に点数の分布をとって、縦軸に張り付いている人数のパーセントをやったグラフで、国語も理科も社会も、ある意味数学も-数学はちょっとまた別な欠点がありますけれども、きれいに正規分布になっているわけです。どんな漢字のテストをやっても、算数のテストをやってもこういうふうになると思いますけれども、英語については、見せていただいた資料だと、二こぶになっているんですよね。この二こぶというのは、ちょっといろいろお話ししたいと思いますけれども、問題ですよね。いつごろから認識されるようになったんですか。

◎教育長 

 特に、この認識なのは、平成22年度の入試から高校入試の学力検査ですね、これを各教科40点満点から100点満点に変えました。その関係だと思うんですが、得点分布の幅が横に広がったんです。そういうことによって、英語の二こぶというんですか、これが何というんですか、顕在化してきたのかなと。ただ、感覚的に見ますと、それまで40点なので少しぎゅっとしていますので、二こぶが見づらいんでしたけれども、恐らくその前からこういう傾向というのはあったのではないかなというふうには推察いたします。

浅野目義英委員 

 横軸に点数が長くなったから出たということですけれども、でも、今、前からあったんじゃないかというお話ですけれどもね。普通、試験などの結果が正規分布の形で描かれていれば、こうなっていれば、ここを中心にして教えればいいと思うんですよ、理論上は山のトップが平均値になりますから。しかし、今、二こぶになっていると、全く周辺がへこんでいますから、形としては谷間のように落ち込んで、平均値を基に先生が指導することがすごく難しいと思うんですよね。大変な苦労が要るんじゃないかなと、私素人だから思いますけれども、いかがですか。

◎教育長 

 実際、二つこぶになって、私も教員やっていましたので、どこにターゲットを絞るかというのは非常に難しくなります。ですから、こちらのタイプの子たちにも、こちらのタイプの子たちにも1時間の授業の中で飽きさせないということはかなり工夫しなくちゃならないですから、そういった意味で、教員の工夫というんですか、これをよりせざるを得ないという状況ではあると思います。

浅野目義英委員 

 顕在化という言葉が教育長から出ましたけれども、この顕在化が起きているという認識はあるんですね。

◎教育長 

 はい、ございます。

浅野目義英委員 

 ほかの都府県ではいかがですか、埼玉県だけの特徴ですか。

◎教育長 

 他県について、ここにデータ的に調べていないんですが、ただ、指導主事等から聞いた話ですと、他県でも似たようなことがあるのではないかと、データがちょっとないものですから、正確なことは言えませんが、そういう感触は得ております。

浅野目義英委員 

 二こぶをなくすために、どういうメソッドが考えられるんですか、教えてください。

◎教育長 

 二こぶになった原因というのをきちんと分析する必要があるかと思うので、軽々には言えないんですが、少なくとも中学に入って英語を習い始めて、途中でだんだん分かれてくるというところでいうと、つまずきが出てきているというところで2つに分かれてきているという感じがしますので、この辺を何とかして、今回の基礎学力テストでいえば、きちんとどの子にもちゃんと伸ばせるように、その子なりに合った授業法とか指導法というのを工夫していく必要があるんだというふうに思っております。

浅野目義英委員 

 ありがとうございます。

 そうですね。私が要求をしようとするお話をいつも少し先取りしてお答えいただくので、大変感謝をしたいと思いますけれども、今まで--ごめんなさいね、何も分からない者がしゃべっていると、大変頭にくるところもあるかもしれませんけれども--総合的な網羅的な学力テストという調査をしていなかったから、1年に1回の入試で学力の格差の顕在化が確認できているということは皮肉なことじゃないでしょうかね。

 だから、学力調査、学力テストなんだという、ちょっと今お話しになってらっしゃいましたけれども、正にちょっと私そこら辺を質問しようかと思いましたけれどもね。きちっと学力調査をしていれば、だから、今までは部面的だったんでしょう、小5とか中2だけだったんですよね。それをきちっとやるということですから、打つ手が見えてくると思うんです。

 だから、1年に1回こんなふうになっていて、学力の顕在化が見られるというのを確認する以前に、打つ手が見えてこないで、入試の中学3年の最後の試験で、ここにデータがありますけれども、英語の平成26年の初めの山は11点から25点に山があるんです。こんな点数しかとれない子がごまんといるんですよね。この子たちかわいそうだと思いますよ。打つ手が中学3年間のときにあれば、もうちょっと高い点になった。

 そうすると、後世の人生のチャレンジとか、あらゆる選択に光が今以上に見えてきたんじゃないかと思うんです、いかがですか。

◎教育長 

 そのように思います。ただ、恐らく、英語の中学の教員にとっては、ある程度こういうことは体感的に分かっていたと思いますし、そういう対応を工夫してきたと思っています。ですから、全く現場がやっていないとは思っていません。ただ、こういう調査をする、入試でもそうですし、県の学力・学習状況調査もそうですけれども、きちんとしたデータをとって、実態を把握すると。それに対してどういう手を打つかというのをきちんと考えていくと。その中でまた効果のある点を県単位で共有していくということで、こういう問題を解消していくように努めてまいりたいと思っております。

浅野目義英委員 

 あと二つします。いみじくも、中学校の英語教育の現場などから日常的に声は上がっていたということですよね。これもちょっと大変なことではないかなと思います。それで対応していた教員もいるはずだということなんですけれども、やっぱり焼け石に水だと思います。相対的に打つ手を、打つべきところがどこにあるのかということが、オール埼玉の教員で確認できていなければいけなかったのではないかなというふうに思います。これについては答弁は結構です。

 さて、先ほど申し上げましたけれども、小5、中2だけにとどまっていた調査ですよね。これが今般、県独自の学力・学習状況調査の実施及び調査データの活用という予算案の計上になっています。私が申し上げてきたこれらの課題がどういうふうに解決されていくのか、このデータの活用で、教えてください。

◎教育長 

 まず、県の学力・学習状況調査で見ますと、まずそれぞれの子供たち、学校できちんと分析をします。それに対して、どういう指導をした学校なり学級なりが、どういう変化があったかと。つまり、今回の県の学力・学習状況調査の場合は伸びが分かりますので、昨年度から同じ子がどういうふうに伸び方かということが分かります。ですから、例えば英語のこの二こぶの下のほうにいた子たちの中で伸びた子がいたというときに、それがその子たちはどういう学校だったか、また、どういう教育を受けたかとか、そういうことを分析していくと、どういう指導法が効果的であるかということが分かります。それをまたほかの学校でやってみて、それが効果があれば、実際に効果はよりあるということが分かってきますし、又はそれを改善して、またこういうふうに改善したらより効果が出たと、そういうものを各学校でやっていただいて、それを情報を集めて共有していくと、そういうことをやっていきながら、きちんと一人一人の力を伸ばしていくということをやっていきたいと。

 ですから、二こぶのどの子、こちらのこぶであっても、違うこぶであっても、その子その子に一人一人きちんと伸ばすということが大事だと思っておりますので、そういう形で積み上げをしてまいりたいと思っております

浅野目義英委員 

 先ほど自民党の委員に対する答弁でも、IRTの情報から得られる学力達成の道筋のガイダンスというお話がありました。是非、強い要望ですけれども、二こぶ解消に向けて努力を傾けていただきたいことを述べて、ちょっと残時間1分でもったいないんですけれども、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。