【埼玉県のゆるキャラ「コバトン」「さいたまっち」は、商標登録されていなかった!】

私は大変な危機感を持ち、平成28年6月14日に質問をした。県も焦ったのだろう。
3か月後の9月20日には出願をし、翌年3月31日に登録された。
以下はそれを実現させた、埼玉県議会での質問だ。

「埼玉県イメージのブランド化に商標取得は必要ないか」

浅野目質問
世界中で人気の米国アップル社製の多機能携帯端末iPad。中国国内において「iPad」という名称を使える権利、すなわち商標権をめぐり争われていた訴訟があった。訴訟合戦は繰り返され、アップル社を訴えていた中国企業が6,000万ドル、約48億円をアップル社側から受け取ることで和解をした。驚愕の事実だ。
商標登録をきちっとしていなかったために起きた事件と言える。他人が信用にフリーライド、ただ乗りしてしまう象徴的な例と言える。このような行為により、本来得られるはずであった利益が他人に奪われてしまうことになってしまう。

地方自治体はどうか。

実は、地域名と商品名から成る商標が地域ブランド育成の早い段階で商標登録を受けられるようにするため、平成17年に商標法の一部を改正する法律が成立している。このことにより、地域での新しい団体商標制度が始まって、高い関心と注目を集めている。各自治体がどのように商標権を取得し利用しているか、ネット上の特許情報プラットフォームで簡単に調べることができる。都道府県別出願ランキングの内訳で、東京都が最も多く104件、鳥取県は98件、以後、島根県、山形県と続く。埼玉県は、審査中のものも入れてわずか10件。47都道府県の中で下から4番目。後ろには3県しかない。
これは一体どういうことなのか。 色々調べると、地方公共団体による商標登録出願、そして登録件数は、トレンドとして著しく増加傾向となっている。だから、埼玉県はトレンドと逆行していることが分かる。この背景には、地域のブランディングという概念が地域の活性化で極めて重要視されるようになったと推認される。
他の都道府県では、商標の利用方法とそれがもたらす絶大な効果を十分考えているようだ。都道府県市区町村が自ら主導して出願人となり、知的財産権の一つである商標権を取得し、地域の生産品、サービスの認証、施策のPR等の場面で積極的に商標を活用している事例が増加していると承知をしている。

よく理解をして、県が権利主体となり、守り抜かなければならないブランドは、実はたくさんある。
本日の質問は、愛されているコバトン、さいたまっちのブランドを守るため、県は商標を登録する考えがあるのかを問うものだ。 どういうことかと申し上げると、くまモン、ふっかちゃん、そして、ひこにゃん、商標登録されている。けれども、埼玉のコバトン、そして、さいたまっち商標登録されていない。
全国では、地方自治体が知らないうちに公式キャラクターを商標登録されそうになった事案、無断で地方自治体のキャラクターの名称を商標登録出願されてしまった事案、これらの事件が幾つも起きている。
例えば2014年、2015年、続けてゆるキャラグランプリで全国4位となった高知県須崎市のしんじょう君だ。同市では、商標登録していなかった。今年1月20日に、高知県のある菓子メーカーが「しんじょう君ミレーサンド」という商標を出願した。この出願がもし登録されてしまったら、今後は、しんじょう君のデザインを使用する際、高知県須崎市ではなく、商標権を取得する可能性のある菓子メーカーの許諾が必要となってしまうのだ。
また、熊本県のPRキャラクターくまモンをかたどった人形焼きを製造販売したとして、熊本県が事業者を県警に告訴した話は最近の話で、御高承のことと思われる。キャラクターの同一性を保持できないという心配からだったと思われる。
権利侵害に鋭敏になっている他都道府県に比べると、埼玉県の対応は首をかしげたくなる。県民に親しく広く愛されてきたコバトンは16歳になった。さいたまっちは1歳半になった。よくぞ今まで権利侵害されなかったと思われる。
多くの人に使って頂きたいからという、よく分からない幻想を信じて、これまでアクシデントが起きなかったことは奇跡だ。これからも、いつまでも、愛されるために、一刻も早く商標登録すべきだと考える。答弁を求める。

 


 

県民生活部長答弁
県では、著作権に基づき県民の方や企業がコバトン、さいたまっちのデザインを使用する際のルールを定め、適切な運用を行ってきた。
平成27年度は、商品として使用するものとしてボールペンやお饅頭など106件の使用を承認した。
しかし、著作権によりコバトン、さいたまっちのデザインを保護するだけでは十分でない面がある。 例えば、第三者が商標を取得した場合は、コバトン、さいたまっちのネーミングを使用する際、商標権を取得した者の許諾が必要となり、多くの方にご使用いただくことができなくなるかもしれない。
また、今まで築いてきたコバトン、さいたまっちのイメージを損なう使用の可能性も否定できない。
こうしたリスクをなくし、県民に親しまれているコバトン、さいたまっちを引き続き多くの方にご使用頂くためには、他者からの権利侵害を防ぐことが何より重要となる。
議員からの御提言を受け、今後、専門家の意見や他県の例も参考にして、商標登録を行う方向で検討したいと考える。

 

 

 

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