【『旅立ちの日に』は埼玉県発の“卒業式ソング”】

Facebook上で、卒業式の感動の記事が載せられる時期だ。
愛する我が子の成長の節目である卒業式は、親などにとって様々な思いが去来することだろう。

この卒業式でよく『旅立ちの日に』が歌われる。埼玉県秩父市発の“卒業式ソング”だ。
作詞者秩父市立影森中学小嶋校長先生作曲者は同校音楽教員の坂本先生
私は、勇気が満ちてくる詞と、色々回想してしまう旋律の曲で出来ている、この素晴らしい歌を、「埼玉県は讃えるべき」との質問をしたことがある。

作詞者の小嶋先生は2011年1月20日に80歳で亡くなられた。
私の県議会での提案により、同年11月14日の県民の日に『旅立ちの日に』が誕生から20年の節目となることもあり、作曲者の坂本先生と共に、埼玉県より「彩の国特別功労賞」が贈呈された。

 

ご長男が天に去られた小嶋先生の代わりに受賞され、その折「一度お会いしたかった」と言われたことを憶えている。
きっかけとなった、私の県議会での提案の質問を貼っておきたい。

故・小嶋登先生の功績を称え顕彰しようです。

「旅立ちの日に」という歌を御存じでしょうか。20年前の平成3年に、埼玉県秩父市立影森中学校の校長先生によって作詞された合唱曲です。
この歌は、近年では卒業式ソングの定番としてとても有名です。平成19年には、NTT東日本フレッツ光のテレビCM曲としてSMAPが歌いました。平成21年には、東京ディズニーシーのCMソングとしても使われています。

ですから、「白い光の中に」で始まるこの歌を聞き覚えのある人は多いと思います。 しかし、何といっても、先ほど申し上げましたが、卒業式の歌として余りにも有名。テレビ局が全国三百校を調査した「卒業式に歌う歌は」によれば、「仰げば尊し」が58校で、「大地讃頌」が58校で、「蛍の光」が51校で、そしてこの「旅立ちの日に」が161校で歌われており、断トツの一番。今、最も広く歌われています。全国の六割の学校で歌われていることになるのです。 また、これは全国の中学生が使用している音楽の教科書です。音楽の教科書として発行しているのは、全国で教育芸術社と教育出版の二社だけですが、いずれの教科書にもこの「旅立ちの日に」が掲載されています。埼玉県内の全ての中学生、いや、全国の全ての中学生がこの歌を第二学年から第三学年において学んでいるということになります。

この歌が誕生した影森中学校は、当時の日本の少なくない学校がそうであったように困難校であったようです。小嶋先生は、「赴任したときに聴いた生徒の歌う校歌は、余りにも声が小さかった」と、後日、本の中で述べられています。様々な問題を抱え、卒業式自体も生徒がきちんと参加しないような状況で、かなり荒れた学校だったようです。

しかし、この学校の立て直しに音楽の力を信じたのが小嶋先生でした。教育目標に「歌声の響く学校」を掲げ、著名な詩人でもプロの作詞家でもない、当時の校長であった小嶋登先生が作詞されました。

この歌の初演は三年生を送る会、この会で教職員たちから卒業生に向けて、心を込めて、たった一度だけ歌われるサプライズ曲のはずだったそうです。1番は小嶋先生が一人で、2番は教師全員が歌いました。生徒はどんなに驚いたことでしょうか。しかし、生徒の歌声も加わり、学校全体が「旅立ちの日に」で包まれたそうです。中には、泣きながら歌っていた生徒もいたといいます。

小嶋先生は、混乱し萎縮した教育現場においても音楽の力は何かを変える、とんでもない力を秘めていることを知っていたのです。小嶋先生の思いに脱帽せざるを得ません。 自ら一人で卒業生に優しい声で歌った当時の小嶋先生の姿が、YouTubeにもアップされています。私も見ましたが、見ていると、本当に先生が子供たちを大切に愛していたのかがよく分かります。この歌に生徒が強く感動し、生徒がまとまり、学校がまとまっていきました。三年生を送る会だけに歌われる予定だった歌が、翌年から生徒たちが歌うようになりました。そして、今度は生徒から生徒へ代々歌い継がれていきました。

そしてまた、影森中学校だけの歌だったのに、同校にとどまらず周辺の学校に伝わり、そのうち地域を越えて、平成十年頃までには全国の学校で歌われるようになったのです。

知事のよく使っていらっしゃる言葉を借りるなら、正にムーブメントを起こしたわけです。
しかし、今年の1月20日、その小嶋登先生が急性心筋梗塞により天界に去られました。80歳でございました。
亡くなられた三週間後の2月12日放送の「題名のない音楽会」では、時節柄だからか、卒業式の定番曲ベストテンが放映されました。生前に録画されていたからでしょうか、小嶋さんは1月20日に御逝去されました旨の字幕スーパーが流されていましたが、「旅立ちの日に」の作詞家の小嶋先生が出演をされていました。

秩父市は、功績を称え、作詞作曲した先生方二人に、ふるさと文化賞を贈っていらっしゃいます。小嶋先生が天界に去られてから一か月余りがたちました。しかし、なぜでしょう、埼玉県にも県教育委員会にも先生の偉大な功績を称え顕彰する動きがありません。

そんな矢先、政府は2月15日の閣議で、陛下の名前で従六位瑞宝双光章を贈ることを決めました。しかし、それでも埼玉県も県教育委員会にも全く動きがありません。私はとても残念なことだと思っています。

小嶋先生の功績は無視されてよいのでしょうか。良いはずはないと思います。是非、小嶋先生の遺徳と偉業を顕彰していただきたい。知事と教育長から答弁ください。

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