外国人登録法に基づく外国人の指紋押捺(なつ)制度の問題で、
友光恒上尾市長は十八日、三月定例市議会の一般質問に答え、
県下の自治体として初めて押捺拒否者を告発しない方針を示したが、
この方針に基づき、外国人登録事務を扱う同市市民課は、今後押捺の制度、告発は避けることにしている。
質問は浅野目義英市議(新自由クラブ)が行ったもので
「今年は外国人登録の切り替えの年。
指紋押捺は本来必要ないと思うが見解はどうか」と、同市長の基本姿勢をただした。
これに対し、同市長は
「国際化時代を迎えている中で、時代にそぐわない制度だ。押捺拒否者が出ても即告発でなく、
国に法改正を求めていくのがスジだと思う」と、押捺拒否者を告発しない基本方針を明らかにした。
同市市民課は
「今後窓口では現行法を説明し、理解を求めていく。
しかし押捺を拒否しても、安易な強制や告発はせず、慎重に対処していくことになる」といっている。
同市には今月一日現在で三百三十一人の外国人が住んでいるが、同課によると過去押捺を拒否した外国人はいない。
上尾市の友光恒市長は、十八日の三月定例市議会で、
在日外国人の指紋押捺(おうなつ)拒否問題にふれ、
「あえて告発する必要はない。むしろ法律改正を国に対して要求すべきだ」との基本姿勢を明らかにした。
川崎市の伊藤三郎市長、町田市の大下勝正市長、奈良市の西田栄三市長の「告発せず」を支持したもので、
全国の自治体では四番目。県内では初めての表明として注目される。
友光市長は、新自由クラブの浅野目義英市議の一般質問に対する答弁の中で、市の基本姿勢として
「国際的な日本になってきた立場で、外国人登録の切り替え時に指紋をとって確認する制度は、
今の時代に沿うだろうか。疑問に思う。私は反対である。あえて告発する必要はない。
むしろ法律改正を国に対して要求するべきだと考える。十六歳になったらすべて指紋をとるという、
こんなバカバカしい法律が生きていていいのか」と述べた。
市議会終了後、友光市長は
「窓口では、現行法を説明して理解を求めていくが、拒否者に対し安易な強制はしない。
違反者が出ても告発はしない。国に法改正を迫っていく」と語った。
朝鮮総連県本部(康元周委員長)によると、県内の外国人登録者一万六千五百九十四人(昨年末現在)のうち、
韓国・朝鮮人は一万一千八百七十一人で、その大半を占めている。
今年が外国人登録法で定める登録証の大量切り替えの時期にあたることから、
このうち約半数の六千百四十三人が十月一日までに指紋押捺などの更新手続きをとる。
同日までに十六歳を迎え、初めて指紋押捺の義務が生じる高校生らは二百四十八人。
このため二月二十日には、県内に住む在日朝鮮人の中学生二人と高校生二人が、
畑知事に同制度の廃止について国に働きかけるよう九十五人分の反対署名を提出、
同知事は、国に対し廃止要請をしたい、と答えている。
なお、同問題については、川崎市長が二月二十三日、
町田市長と奈良市長が三月十三日にそれぞれ「違反者が出ても告発しない」ことを表明している。