勢力拡大 手応えに差
現有議席を増やして底打ち感が漂う民主党に対し、躍進を果たした共産党。12日投開票の県議選後に示された安堵感と高揚感。異なる反応は、そのまま夏の知事選への姿勢の違いとなって表れてくる。

復調兆し なお壁
民主
「有権者の期待が持ち直してきた」。民主の戦いぶりをこう総括するのは、県連代表の大島敦衆院議員だ。県議選で擁立した15人が各地で善戦。県議会の民主会派は選挙前の12人から、無所属の当選者らを含めて15人前後に膨らむと見込む。「党勢の復調の兆し」と受け止める向きも県連内にある。
中でも、大島氏が「厚い保守地盤を打ち破っての勝利」と喜ぶのが、北4区(深谷市など、定数3)で初当選した民主推薦の江原久美子氏(44)だ。自民現職3人を抑えてトップ当選。次点に泣いた前回から1万票近く上積みした。
「この4年でプラスアルファの支持を広げられた。でもこれだけの票とは」と江原氏も驚く地滑り的勝利。「選挙区の県議が自民党だけでいいのか」。「一強」の危うさを感じる有権者の受け皿になったとの見方もある。
江原氏らの参加を含め、県議会で第2勢力は確保したものの、過半数を得た自民に対抗するにはまだ力不足。そこで浮上してきたのが、第3勢力に躍り出た「プロジェクト・せんたく」との統一会派構想だ。
せんたく当選者の多くは選挙前に保守系会派「刷新の会」で活動していた。両会派の人数を足せば、25人前後に達するため、3戦を決めた南9区(さいたま市浦和区、定数2)の浅野目義英氏(56)は「一緒にやるスケールメリットはある」と積極論を打ち出す。
県政での存在感発揮に腐心する民主じゃ、知事「与党」として2月議会でどの会派よりも早く4選出馬を呼び掛けた。その知事は県議選ではせんたくの結成を主導し、衆院議員時代に所属した民主とは距離感も見せた。14日の会見では、古巣の思いもどこ吹く風で、こう語った。「私は常に県民党の立場です」