県議には政活費以外にも支給される。本会議や委員会に出席するたびに、自宅から議会までの距離に応じて支払われる旅費に当たる費用弁償だ。実費ではなく定額払いで、距離により1日6000~1万2000円の3段階。09年に最大で約半額に減らす見直しを実施したが、17年度は総額約4100万円が支給された。

費用弁償は議員報酬、政活費に次ぐ、「第3の給料」との批判も根強く、他県では見直しが進む。首都圏では神奈川県、千葉両県議会が07年に定額から実費支給に切り替えた。神奈川では年間約6000万円の削減効果があった。東京都議会も17年に島しょ部選出議員を除き廃止した。

埼玉も改革への動きがないわけではない。前回15年の県議選後、無所属県民会議(県民)は費用弁償を実費支給に変更する条例改正案を2度提出したが、過半数を占める自民などが反対し否決された。

立憲・国民・無所属の会代表の浅野目義英県議の場合、さいたま市内の自宅から議会まで車で約10分、電車を使えば往復280円で済む。浅野目県議は「早く実費制にすべきだ。政活費の公開のあり方や、誰がどういう質問をしたか明記しない『県議会だより』の見直しなど、やるべきことは多い」と話す。

前回県議選以降、県民などの会派は議会改革について話し合う委員会の設置などを求める要望書を議長に計12回提出したが、具体的な協議の場はいまだに設置されていない。県民の鈴木正人代表は「最大会派の自民がやると決めれば進む話」と言うが、自民県議団幹部は「ネット公開は団内で議論しており、費用弁償についても研究中だ」と述べるにとどまる。

同連絡会議の新海聡事務局長は「住民が議会を信用できないと思う代表的なものが政活費だ。改革を進めず放置すれば議会や行政への無関心を生むことになる」と指摘する。