上田清司知事が全国知事会長に就任したことについて「全国知事会の認識を問う決議」案が6日、6月定例県議会で可決した。知事多選自粛条例に反する形で知事を続ける上田市を会長に選んだことの認識を問う内容。提案した最大会派の自民党県議団体は来年の統一地方選、知事選を見据えて上田知事との対決姿勢を鮮明にする一方、他会派からは「恥をかくのは県議会」と批判の声が上がっている。
自民の小島信昭団長は「条例を守れない人が知事会のトップに就くのはいかがなものか。
他の都道府県の知事は、多選自粛条例違反をしていることを知らない人もいるのではないか。全国の知事に認識してもらいたい」と決議の意義を強調した。
自民は決議や動議を相次いで提出。来年の統一地方選や知事選を見据え、上田知事との対立を激化させている。6月定例会の一般質問では、登壇した自民議員から知事に答弁を求める質問はなかった。
公明の西山淳次団長は「別組織である全国知事会の決定事項に異論を唱えるのは筋違い」と決議に反対した。「決議は客観的には県議会の意思とみなされるので、(賛否が)割れるような決議は好ましくない。自民党の議会運営がちょっと強引じゃないだろうか」と指摘した。
立憲・国民・無所属の会の浅野目義英代表は「全国知事会は自立した団体。決定については不干渉であるべき。決議には強く反対」と強調し、「こういうことに時間を費やしていること自体が非常に歯がゆい。議会改革の一環として(議会の現状を)来年の(県議選の)争点の一つにしたい」との考えを示した。県民会議の鈴木正人代表は「全国知事会という全く違った団体に対する内政干渉で、失礼な話。この決議をすること自体、認識を問われるのは埼玉県議会であり、恥をかくのは埼玉県議会。全国知事会にまで牙を向けるのは 暴挙であると言わざるを得ない」と語気を強めた。
共産党県議団の柳下礼子団長は「地方自治体としての本来の役割が果たせるよう(全国知事会長として)国にしっかり物を言うように頼むというのが本来の筋」と決議を批判。
「知事が4選でどうかということよりも、党派を超えて県民の要求をどう実現するか、政策的な論戦をするべきだ」と力を込めた。
決議に賛成した改革の会の中川浩代表は、多選自粛条例をただす決議が過去3回可決されているとし、「自ら制定したものを守れないのであれば改廃すべきだ」と話した。