【小さな、小さな、同窓会】
一体何年会っていなかったのだろう。
三人とも団地に住んでいた。泥ダンゴづくり、自転車での大冒険、長かった通学路、その途中にあったお地蔵さん、思い出がどんどん溢れてきた。
記憶とは実に不思議なものだ。
三人全員が憶えていること、
二人が憶えていること、
一人だけが憶えていること。
記憶の三人の総量のあちこちに濃淡があると思われた。
けれども、ある部分を憶えていないのではなくて、漆黒の箱の中に入ったままだったことに気づかされた。
半世紀も前に小学校を卒業した同級生で話をしなければ、恐らくずっとずっと暗い箱の中に入ったままの記憶だったに違いない。
「そうだよね、それさあ何々だったよね」と、半世紀近く口から出たことがなかった何々という言葉に、自分自身が何度も驚かされた。記憶が無意識に箱の中から飛び出してきたのだ。
介護会社取締役の小林伸也くん、旅行会社社長の鈴木彦くん、時間の移ろいは三人の上に等しく流れていたはずだけれど、喜怒哀楽、様々なドラマを織りなして今に至った。
久しぶりに会えたけれど、今でも仲良しなのが嬉しかったよ。僕の仕事も評価してくれてありがとう。
今度いつ会えるのかな。また会おうね。