<総括質疑> 平成26年3月18日(火)
1 スクールカウンセラーについて
2 埼玉県立浦和図書館について
◆浅野目義英委員 それでは、委員長さんの許可をいただきましたので、通告に従いまして2点質疑をさせていただきます。2つだけですので、濃密にやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最初に、スクールカウンセラーについてです。
この部面については予算説明書257ページ、教育連絡調整費のいじめ・不登校総合対策費、また非行防止対策費の中に包含をされていると思います。
実は昨年、私はスクールカウンセラーの選考を見直せという質問をいたしました。スクールカウンセラー、私の時代にはありませんでした。この事業の特徴、埼玉県の特徴を2つ申し上げます。1つは、配置事業の予算規模が平成24年度で2億7,835万5,000円、翌25年度で3億3,966万9,000円と、ほぼ3億円もの巨費を投入しています。かなりの額です。2つ目には、しかし、このスクールカウンセラーの選考に臨床心理士さんのみを12年間一貫して採用し続けるとしているということです。この埼玉県の特徴2つの2点目の、この資格に固執し続けている実態を強く批判しました。臨床心理士さんは、そもそも単なる民間団体の資格であり、国家資格でも何でもありません。
さて、質疑申し上げます。
教育長、大津市中2いじめ自殺事件覚えていますか。この滋賀県大津市内の市立中学校の当時中2の男子生徒が、いじめを苦に自宅マンションから飛びおりて自殺をしたという事件です。風化させてはいけない事件です。ガムテープで口を塞がれるなど連日のいじめ。この事件前後、学校と教育委員会の隠蔽体質が発覚し、問題視され、大きく報道されました。翌年には、本事件が誘引となって、いじめ防止対策推進法が与野党の議員立法によって国会で可決いたしました。
教育長、この学校に臨床心理士さんたるスクールカウンセラーがいたことを御存じですか。
◎教育長 滋賀県大津市のいじめ自殺事件の当該中学校に臨床心理士のスクールカウンセラーが配置されていたことについては承知しております。
◆浅野目義英委員 私は、臨床心理士さんだけでは駄目で、生徒児童の心の課題を解決するための専門家は、実はたくさんいるんです。学校カウンセラー、学校心理士、キャリアカウンセラー、教育カウンセラー、認定カウンセラー、臨床発達心理士などです。そもそも、スクールカウンセラーというのは、何のためにいるかをよく考えるべきです。命は大切で、みんなが相寄り営む社会を作っていかなければいけないということを分かっている人たちで構成されなければいけないと思います。
埼玉県は、臨床心理士のみを12年間一貫して採用し続けています。臨床心理士は、そもそも単なる民間団体の資格です。さて、この資格に固執し続けている実態は改善されたのでしょうか。応募は、実は去年の10月15日に終わっています。そして、受験資格別の応募人数を是非ここで確認したいと思います。また、今年の1月末に合格発表がございました。そのときの資格別の合格人数をここで確認をさせていただいて、実態は改善されたのか、臨床心理士さん以外に門戸は開かれたのか、扉はあけられたのか、教育長さんに問いただしたいと思います。
◎教育長 受験資格別の応募人数と合格人数の御質問かと思います。
6種類に区分した受験資格別の応募人数は合計で324名で、その内訳は、臨床心理士が239名、精神科医及び大学の臨床系の教員は、これはゼロ名でした。大学院を卒業し1年以上の相談業務経験者は39名、大学を卒業し5年以上の相談業務経験者は46名、医師で1年以上の相談業務経験者はゼロ名でございました。補欠を含めました採用候補者の人数は合計で261名で、その内訳は、臨床心理士が222名、大学院を卒業し1年以上の相談業務経験者が20名、それから、大学を卒業し5年以上の相談業務経験者が19名でございます。
◆浅野目義英委員 門戸は開かれたようですが、教育長さん御案内のとおり、財務省の調査票というのがあります。きちっと当初の目的どおり予算が執行されているかを事細かく各省庁別にまたがって調査をした書類ですが、この臨床心理士さん以外を多く活用している自治体は大きな事業成果を上げている例が見られると報告されています。そして、文部科学省初等中等教育局児童生徒課長から各都道府県指導事務主管課長に発せられた文書にも、幅広い人材の活用や配置等を行えることになっており、その趣旨を含めてこの臨床心理士さん以外の積極的な活用を願うと書かれています。
臨床心理士さんが261名中222名ということですが、喜ばしいことではありますけれども、これのみほとんど採用している実態への警鐘を私は重ねてお訴えをしたいというふうに思います。
さて、次にいきます。
しかし、ここに平成26年度埼玉県スクールカウンセラー募集要項というのが私の手に入っていますけれども、ここに信じがたいことが書いてあります。それは、この応募資格の中に、教諭等の業務として行った教育相談の経験者は対象外ですという文言です。なぜスクールカウンセラーの募集要項に学校の先生が現職として相談した業務を排除しているのか。これは大失敗ではないかと私は思われます。担任こそ、生徒の尊敬を集め、生徒と心を一つにして、生徒の肌感覚を最も知り得る仕事をしてきた経験者であるはずなのに、この教育相談の経験者を対象外、除外をしたことについて、私は大失敗ではないかと思われますが、教育長さん、お答えください。
◎教育長 委員御指摘のとおり、平成26年度のスクールカウンセラーの募集では、スクールカウンセラーに準ずる者を応募資格に加えることにいたしました。その際に、スクールカウンセラーは児童生徒の臨床心理の専門家として、教員とは異なる視点で児童生徒に接することが必要であるというふうに考えました。
また、こうした準ずる者は初めての募集となりますので、近県の例を参考にいたしまして、教諭等の業務として行った教育相談は対象外といたしました。
委員御指摘のとおり、学校において、まず児童生徒が信頼して相談することができるのは教員でございます。また、自己研さんを重ねて在職中に心理士職としての資格を取得している教員がいることも事実でございます。平成27年度につきましては、優秀な人材の確保という観点から、応募資格要件の教諭等の業務として行った教育相談は対象外ということにつきましては見直しを検討いたします。
◆浅野目義英委員 ここに財務省が出している総括調査票を手に入れていますけれども、出典は財務省ですよ、この中で児童生徒の相談先というのがあります。児童生徒の相談先。困った問題、貧困、いじめ、虐待、学力不振、昔は相談をせずに自分で解決していた子供たちもたくさんいたと思いますけれども、これによりますと、小学校の児童では、圧倒的に担任の先生57%。57%の子供たちが担任の先生にすがっています。そして、前に担任をしてもらった先生17%。担任の先生と前に担任をしてもらっていた先生以外の学校で相談に乗ってくれそうだなと思われる先生6%。保健室の先生19%。これ、合算したらどれぐらいになりますか。子供たちが学校にいる教諭などにすがっているわけですよね。スクールカウンセラーの先生方は25%です。悲しい数字ですが、相談をしたいと思う人はいないが23%です。是非、その子に寄り添って、励まして、行く手を示してあげられる、そして確実な成果を上げるためには、今見直しを検討、見直しをする意思を表明をいただきましたけれども、是非この部面について総合力で対応していただきたいことを要望したいと思います。
それでは、次の質疑に入ります。
県立浦和図書館についてでございます。これは予算説明書の275ページ、社会教育施設費の県立社会教育施設耐震改修費(久喜図書館の改修)とリンクしているかと思います。
今日の何人かの委員からも出されている県南地区大災害被災の折のバックアップなどの考え方も含めて、県立図書館3館を1館に集約する構想は支持したいと思います。私どもの会派の吉田芳朝代表も、代表質問でこのことは明白に意思表示させていただいています。
しかし、浦和図書館は、地元浦和の大変思い入れの強い建物であります。そのことをまず申し上げたいと思います。
それでは知事に、この県立浦和図書館の前庭部分に立つ埼玉会館の設計者を御存じですか。そしてまた、その彼の設計思想、エスプラナードを御存じでしょうか。
◎知事 知りませんでした。事務方からは聞いている程度であります。
◆浅野目義英委員 知事がこの図書館の前に建っている有名な建物の建築家を知らないというのは、大変驚きでしたが、実はル・コルビュジェという建築家、フランク・ロイド・ライトやミース・ファン・デル・ローエとともに近代建築家の3大巨匠です。この3大巨匠のコルビュジェの日本での数少ない、まな弟子と言われる前川國男さんが埼玉会館を設計いたしました。
実は前川國男さんが設計した施設はかなりあります。東京文化会館、紀伊國屋ビルディング、京都会館、東京都美術館など、我が国が誇る建築作品があります。
前川國男さんは、エスプラナードという空間認識を人が憩いを持ちながら目的もなく歩く中庭的広場、散歩道といろいろな著書で表しています。囲まれている、自分がプロテクトされて、そこを回遊している感じとも説明をしています。そして、このエスプラナードのイメージは、巨匠コルビュジェから教わったと伝えられています。
埼玉会館は、入り口部分の上に庭を造り、そして県立浦和図書館でプロテクトされてこのエスプラナードが完結しています。つまり、壊してしまっては、エスプラナードは完結しません。壊しては駄目です。県立図書館は昭和35年に完成し、埼玉会館は41年に完成しています。県立図書館を設計した人は県の職員さんです。職員さんであるという立場から、埼玉会館にどんなすばらしいものが建つか想像していたはずです。ですから、連結部分が2階になっています。そしてまた、埼玉会館建築者の前川國男さんも、図書館を取り込んで設計をしたはずです。
さて、次にいきます。
東映60周年記念映画「北のカナリアたち」という映画がございます。2012年制作の日本映画で、監督は阪本順治さん、この映画の冒頭のシーンにこの浦和図書館が登場することを知事は御存じですか。
◎知事 映画は見ておりませんが、シーンがあったということは聞いております。
◆浅野目義英委員 何といっても、東映の60周年記念作品です。全国330スクリーンで公開をされ、この委員の中にもごらんになられた方いらっしゃると思います。2日間で興行収入が1億8,039万円、動員16万5,000人、映画観客動員ランキング2位です。1位は「のぼうの城」だったそうです。
日本アカデミー賞では、最多タイとなる12部門で優秀賞を受賞しています。3部門で最優秀賞も受賞しています。いろんないわれのある離島で勉強を教えている小学校教員が……
◆浅野目義英委員 心傷ついて図書館司書として仕事をしている場がこの図書館です。
さて、次の質疑に入ります。
この浦和図書館の蔵書数は49万6,480冊です。入館者数の推移は、20年前25万7,640人だったのに、現在は15万6,007人。県立3館の中でも来館者数の下落度が極めて高いです。これは、当然さいたま市の図書館の整備状況とリンクしています。さいたま市立図書館の蔵書冊数は334万冊です。繰り返します。浦和図書館の蔵書冊数は49万冊です。埼玉県立図書館の3館全て合わせても151万冊です。かないません。
敷地は大変細長いところに建っていますけれども、モダニズム建築で内部も大変面白いデザインになっています。建築当時は、昭和33年には驚くべきことですが地元浦和市には図書館がありませんでした。ですから、資料をひもときますと、県立図書館のサービスに依存したいという浦和市の意思があり、建築費の2割を出してもらっています。
さて、時代が必要性と需要を求め、どんどん公共建築物というのが建てられてきた時代があります。しかし、様々な時代の事情で廃止に追い込まれ、廃館に追い込まれている公共施設、県立公共施設もたくさんございます。昭和35年完成の浦和図書館は、知事の言葉をかりれば、正に先ほどの委員の答弁にもあった多くの県民の皆さん方の知的の欲求に応え、多くの利用者、多くのドラマを作り、県都浦和の強烈な思い入れのある建物でもあります。一旦は役割を終える建物に対して、別の切り口で次の役割を持たせることはできませんか。県有施設に新しい生命を与え、新しい鼓動を呼び起こす発想がありませんか。指定管理や賃貸方式などによりその発想が持てないか。知事からの答弁を求めます。
◎知事 浦和図書館は、耐震改修に課題があるという形から廃館を決めているところでございます。この基本方針は基本方針としてあります。ただ、深谷商業のあの大正ロマンのほぼ難しいと言われた改修が可能になった経過などもございます。どういう形でこのことが可能なのか、もしそうしたアイデアが本当にあるならば、いささか私どもも多少は調べた上で、極めてこの建物は難しいというような判断を聞いているところでございますが、それに代わるような判断があれば、またその時点での何らかの形での判断はあるかと思いますが、今の時点では、我々が知る情報の中では困難ではなかろうかというふうに思っております。ほんの一部を、例えば浦和レッズみたいにエンブレムみたいな形がちょっと残されているとか、そういう形はあるのかもしれませんが、現状ではなかなか困難ではないかということを専門家から私は聞いております。
◆浅野目義英委員 先ほど私が申し上げました「北のカナリアたち」に出てくる図書室はこれです。圧倒的な質感を示しており、回遊式の図書館というのは、全国で唯一だそうでございます。びっくりするほどの質感がある図書館でございます。それから、ちょっと出すのを忘れちゃったんですけれども、すみません。これが例のエスプラナードですね。この立地は浦和図書館があって初めて完成しているということでございます。
知事、私は浦和区選出の県会議員で、後ろに荒川大先生もいらっしゃいますけれども、荒川先生からもどんどんやれと言っていただきましたので、一所懸命背中を押していただいていますが、実は、政令指定都市の中にこの浦和というのが包含されているというのが決定的な要素かもしれません。実は、歴史に包まれた労働会館も壊されてしまいました。あそこで卒業式の謝恩会をやった、それから、びっくりしたんですが、60代の方は県立の入試問題の勉強会をやった、それから、結婚式を挙げたという人もいらっしゃいました。緊急輸送道路に隣接しているということで壊されてしまいました。無念でした。それから、青年の家も時代の役割を終えたという、勤労青年がもういなくなったということで壊されました。しかし、建物はどんどん造りどんどん壊す、これでいいのかという思いもいたします。
大宮公園の質疑をした私どもの高木委員が、生まれた子は育てなければいけないという、けだし名言だなと私は思いましたけれども、是非この建物を県が管理をしている、これから長い時間がかかると思います。廃止の条例を出し、そして関係部課に照会をし、当該市であるさいたま市に有効活用の考えはないかを聞く。どんどん時間が過ぎていくと思います。是非ゆっくり考えていただいて、大切なこの財産をいともたやすく壊さないように心からお願い申し上げながら、私の時間を終えたいと思います。ありがとうございました。終わります。