民進党・無所属の会代表の浅野目義英です。会派を代表いたしまして、まず、第一号議案「平成二十九年度埼玉県一般会計予算」に賛成する立場から討論をいたします。
本予算、法人二税のうち、事業税がマイナス七十二億円、株に関連する歳入不足が見込まれ、個人県民税のうち、配当割についてがマイナス四十三億円、株式等譲渡所得割についてマイナス五十億円、昨年度平成二十八年度県税当初予算額七千六百四十億円に対して、今年度の県税当初予算計上額は四十七億円もの減額計上です。財政の基本は収支を整える、つまり歳入と歳出のバランスを図ることでしょうから、歳出に見合った歳入が確保できなかった苦悩がしのばれます。急激な予算規模の縮小を避け、歳入確保のため手段を講じ、予算を編成されました。
予算編成上は、歳入規模に見合った歳出構造へ転換する必要があったのに、そうせず、基金を取り崩し、借入れをして、「未来への投資」と名付けた、やるべきことをやると考える平成二十九年度当初予算を、英断をもって作られました。その編成に当たっての哲学について、代表質問、一般質問などを通じ、知事から答弁をいただきました。
平成二十九年度は、新たな5か年計画の初年度となる重要な年でもあります。本県では、少子化の進展により、間もなく本県人口も減少することが予想されています。また、急速な高齢化が進み、生産年齢人口の減少が加速する見通しとなっています。知事は、「人口構造の変化への挑戦」「強い埼玉県経済」「地域の安心・発展」という三本柱の下で、「未来への投資」を進めるものと発言されました。
三つの柱のうち、「人口構造の変化への挑戦」は、県の一本の矢だけでなく、市町村と一体となった六十四本の矢となって実効性のある少子化対策に取り組み、長期的な視点で人口減少に挑戦するものです。貯蓄率低下の中、県民が結婚、子育ての不安を解消し、希望を実現できるよう、積極的に挑戦する姿勢は高く評価できます。また、健康長寿埼玉プロジェクト、シニアの活躍やウーマノミクスプロジェクトの更なる推進により、生産年齢人口減少の中、本県の活力を高める具体的な方法を示しています。
次に、「強い埼玉県経済」であります。稼ぐ力の向上では、県内企業が自動車産業の一本足打法から脱却を図り、足腰の強い経済をつくるため、先端産業創造プロジェクトを更に進めています。本来は時間がかかる課題にもかかわらず、早くもマグネシウム蓄電池や三D内視鏡など、実用化への道筋が立ってきたプロジェクトも数多く見られます。プロジェクトの成果を発信し、県内産業の成長につなげていく方向性がはっきり見てとれます。
また、埼玉県公労使会議での議論を踏まえた国、経済団体、労働団体と連携した非正規雇用者の正社員化への支援を新たに行うとともに、「ハローワーク浦和・就業支援サテライト」に、「地方版ハローワーク」として企業からの人材確保に関する相談窓口を開設するなど、産業の活性化、雇用の拡大、企業の人材不足などに対して多方面から支援をすることで、強い経済をつくり上げていくその姿勢は、頼もしいものと感じられます。
最後に、「地域の安心・発展」です。危機への備えの強化、激甚化する災害への対応、燃えないまちづくりを進め、視覚障害者の方々など県民の命を守り、安心を確保するため、駅ホームからの転落防止のためのホームドアの設置をスピード感を持って促進しています。
また、熊谷ラグビー場の全面改修、埼玉スタジアム二〇〇二、さいたまスーパーアリーナの施設整備を進め、二年後のラグビーワールドカップ二〇一九、三年後の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの本県での開催に向けた万全の準備を整えています。
さらに、市町村と連携した「川の国埼玉はつらつプロジェクト」の全県展開、北部地域振興交流拠点の検討など、県内地域全体の発展を考えた事業展開を高く評価します。
この議案は、本県を取り巻く大きな変化に適応し、人口構造の変化、経済・雇用の課題、地域の安心と発展、それぞれにバランスを持って取り組むものです。私たち民進党・無所属の会がこれまで継続して提案してきた施策や要望が随所に具現化されています。感謝します。県の現在、そして未来への県民の皆様の思いが反映されているものと感じています。
本議案の委員会での審査において、「事業の執行に適切な対応を求める附帯決議」が付されたと委員長さんから報告がありました。今回の附帯決議は七項目にもわたり、内容も各事業について細々と注意するものになっています。執行部には、そうした細かいことに目をくらまされず、この平成二十九年度予算案の根底に示された、未来の埼玉県に対して責任を持ち具体的な処方せんを示す、そうした本質を捉えた姿勢を失ってほしくない、このように思います。
確かに、事業効果などの検証をすることは重要なことかもしれません。それは知事も常々言っていることです。しかし、それが目的となってしまい、予算の執行によって、この社会をより良くし、県政を進展する活動がおろそかになってしまうようでは本末転倒です。
また、この予算案や各事業を検討するまで、どれぐらいの長い時間を要しているのでしょう。県庁職員、関係者、そしてここにお集まりの県会議員の意見を極めて長い間聞き、様々な課題を解決しようとして、長い時間をかけ進められてきたと推認できます。そうした努力が、一瞬で水の泡としてしまっては本末転倒です。県庁全体が委縮してしまわないか心配しています。執行部の提案を超える新たな具体案が示されたわけではありません。提案された内容を実現していただきたい。その思いの一点でございます。
よって、附帯決議に懸念を表明しつつ、本予算は極めて妥当なものと感じ、第一号議案に賛成をするものであります。
第百十号議案「埼玉県5か年計画の策定について」の修正案には、以下の理由から反対です。述べていきます。
まず、表現を変えたに過ぎない修正が多いことです。もちろん、原案に不適切又は誤解を招く表現があるなら修正すべきですが、表現の好みに類するものが多く、修正しても行政計画として実質変化がないものが目立っています。意味がありません。また、表現が変更されただけでなく、今後五か年で特に鍵となる取組は、正に県民とともに取り組む挑戦なのにもかかわらず、「県民とともに取り組む挑戦」という言葉を削除されたことにより、本5か年計画が県民不在の印象を与えかねないことをまず指摘しておきます。
そもそも5か年計画は、埼玉県が中長期的に取り組む方向性を定め、その中における五年間を切り取って課題を整理するものですが、当該修正案では、五年未満で取り組むとする指標も盛り込むなど、五か年を見通す計画にそぐわない記述が多く見られます。
さらに、ある部分では似ているので統合すべきと削除し、修正を加える一方で、第二章においては、章全体が重複して追加されるなど、全体として整合性がとれていません。
次に、北部地域振興交流拠点についてです。現5か年計画には、西部ふれあい拠点は修正されずに計画に入っています。しかし、北部地域振興交流拠点については、「市街地整備手法によるべき」との理由で削除されています。現西部ふれあい拠点が修正されず、北部地域振興交流拠点だけが削除されているのはなぜでしょうか。整合性がとれていないと思わざるを得ません。
北部の件は、旧テクノグリーンセンターとして過去に自民党議員さんも推進すべきと数多く質問をされています。その中には、予算特別委員会で知事が「テクノグリーンセンターについては、状況の変化から既に確保してある土地の活用が重要と考えている。県として活用の方法について調査研究する」との答弁をしていますが、これを受けて、「熊谷市は、テクノグリーンセンター整備の県の方針見直しと受け止め、市及び中心市街地活性化のため、用地の活用方法に早期に着手することが重要と判断したと認識しております」と自民党県議さんは発言されています。さらに、平成二十四年には調査費もつき、県、熊谷市、自治会連合会、商工会議所等民間も加わって推進協議会も開かれています。埼玉県議会において議論が深まり、その結果、熊谷市が動き出したのにもかかわらず、現在、はしごを外されたような状態です。熊谷市のみならず、地元住民も大変困惑をしていると伺っております。今回の予算は、箱物を造るということではなく、今後の北部地域の振興及び県内の産業並びに中小企業の発展のため、時代の変化に即応し、どのようなものを整備していくのが良いのかを調査する調査費です。内容についても、たとえ五か年では完成に至らずとも、検討推進であれば進められることであり、入れておくべきだと私たちは考えています。
また、第二章の三では、「固定的な男女の性別役割分担の意識は十分に解消されておらず」の部分が削除されています。調査結果を誤って踏まえたことによる削除であり、認められません。
さらには、太陽光発電、地球温暖化対策の項目を統合する記述に修正されていますが、住宅用太陽光発電の有用性を認めながら、エコタウンや住宅用太陽光パネルの設置目標などを全て削除してしまうなど、太陽光発電を一切否定するメッセージにつながりかねず、賛成できません。地球温暖化対策の言葉も削除されています。言葉がなくなってしまうと分かりにくい上、パリ協定の実現に向けての姿勢が疑われかねず、こちらも誤ったメッセージが伝わりかねません。
5か年計画の下位計画である第三十六号議案「埼玉県男女共同参画基本計画の策定について」の修正案、第三十八号議案「埼玉県地域強靱化計画の策定について」の修正案、第三十九号議案「埼玉県環境基本計画の変更について」の修正案、第四十号議案「埼玉県産業元気・雇用アップ戦略の策定について」の修正案、第四十一号議案「埼玉県第四期科学技術基本計画の策定について」の修正案、反対の立場で討論をいたします。
上記五議案は、いずれも5か年計画の修正に伴う修正ということで提案されています。私たちの会派、民進党・無所属の会は、5か年計画の修正案に反対です。この立場ゆえ、この修正案に伴う修正には賛成できません。
以上、討論とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。