【努力をし続けた偉人の周りの人たち】

あきらめず、心折れず、努力した人の話」というテーマで、これまで4回お話をさせて頂きました。

➀絶望からの努力、野口英世
②夢に向かう努力、イチロー
③夢を追う勇気、ディズニー
④こつこつ謙虚な努力、上杉鷹山

みな、世界に名を知られる偉人でした。
これらの偉人は、なぜ偉人になるべく努力を続けることができたのか。偉人たちは、どんな家庭に生まれ、どんな親に育てられたのか?

今回は、努力をし続けた偉人の周りの人たちの姿勢についてお話をします。

◯母親
筆者は山形県のある素封家がつくった変わった庭園を訪れたことがあります。広大な庭園に大小いくつもの石碑が建てられており、そこには古今東西の名言・箴言が刻まれてありました。そのうちの一本の石碑にこう刻まれていました。「偉人の父必ずしも偉人ならず、偉人の母必ず偉人なり」
発明家エジソンや細菌学者野口英世の母親は、まさにその典型でしょう。
記録を読むと「あなたは出来る子」と抱き締め、子を信じ切るという母親の姿勢が強烈に見て取れます。頭ごなしに子を否定せずよく観察し、世界の中で一人だけでも私は信じるという姿勢です。
「今日の私があるのは母のおかげです。母はとても誠実で私を信頼してくれました。私はこの人のために生きようと思いました。この人だけはがっかりさせる訳にはいかないと思ったのです」エジソンは書いています。
「1日たりとて母のことを想わなかった日はありません」野口英世が書いています。
エジソンも野口英世も、信頼をし続けてくれた母をいつまでも胸に刻み、一歩また一歩と踏み出し努力を続けたのです。

◯父親
努力をし続けて偉人となった子の成長に大きな影響を与えるのは、産んだ母親ばかりではありません。父親の考え方や生きる姿勢もまた、成長に少なからぬ影響を及ぼすようです。
数学者パスカルの父親は、我が子の桁外れの能力に驚き、徴税官の職を退き、土地を売り払って利子生活をする決意をします。そして我が子を学校に行かせませんでした。学校ではなく家庭で自ら英才教育をしたのです。
しかも、自宅には当時の一流の数学者や科学者が頻繁に出入りし、一種のサークルのようになっていました。彼はそうした大人たちから様々な知識を吸収し、大人たちと討論したり思索を深めたりすることで、パスカルの才能が本格的に開花したと言われています。
父親は、我が子のための教育環境整備にも意を配していたのです。

経済学者ミルも同様で、父親によって教育されました。我が子のために、ギリシャ語の単語帳を作り、文法を教え『イソップ寓話集』の訳読からギリシャの古典を次々と読ませます。
こうしてミルは、7歳の時にはプラトンの対話篇さえも読むことができるようになっていたといいます。
また、父親が親交深かった経済学者ベンサムや社会改革運動家プレイスなどから、勉強や生き方について直接助言をもらうなど、当時一級の教育環境にありました。

親の努力次第でいかようにも子の才能を伸ばすことができる。幼年期の子供には限りない学習能力がある。そのことを知らなければならない。示唆に富むストーリーです。
また、偉人の父親は、教育環境を整えてあげた一面がよく見られます。

偉人の親の行動を読み連ねると、信じて、整えて、思う。このことにつきるように思えるのです。
心底たより、たよられることに幸せを感じるのが人間本来の姿です」と教育者松居和は語っています。