15年前、長男が780㌘で出生した。明日の命も知れない超未熟児だった。
ある雑誌に「どんなことがあっても生きて欲しい」と、涙をこらえながら随筆を書いた。

加藤シヅエさんから「読みました」とすぐにお手紙をいただいた。

「今世界に50億(当時)の人口が存在するそうです。
しかし、それが尊い一つ一つ命ある人間として考えと結びつかないように思えます。
尊い命を健やかにお育てください」と書かれてあった。

この真理の詰まったお手紙に、当時いったいどれくらい励まされたことだろうか。

産児調節運動は、同時にかけがえのない命を必死にはぐくむ運動であったことを教えてくれていた。
強い意志で、険しい道を幾多も切り開いてきた女性運動のパイオニアは、104歳で天界に旅立たれた。

手紙の内容を思い起こし、その偉業に熱い拍手を送りたい。
長男は来春、高校生になる。背丈は、私に至らんとしている。