『人との不思議な出会い』⑤
人生で最も幸せなことは『良い人間関係』
埼玉県議会議員 浅野目義英
いよいよこの連載も今号で最終となりました。
お付き合いを頂きましてありがとうございました。
筆者と高柳和之先生との出会い、エジソンと駅長との出会い、アリと警官との出会い、そして400年以上
前の『柳生家の家訓』に、「人生は不思議に満ちているが、その運命を決める仕掛けは人と人との出会いにあり、その人間関係を大切に出来るかどうかは重要なものだ」と記されていること。4回にわたり、そんなことを書かせていただいてきました。今回は、「私たちを幸せにするものは何だろ
う?」このテーマを米国で1938年以来約80年にわたって、根気強く調査し続けたグループとそ
の研究結果についてお話をしようと思います。
調査対象者へ「人生で最も幸せなことは何ですか?」との質問をし、質問票を送ったり、インタビューをしたり、彼らの医者から医療記録も手に入れたりして続けられた、「ハーバード成人発達研究」との名で知られるこの研究は、幸せに関する世界で最も長期な研究と言われています。ある人の全人生が展開されるのを観察しながら記録できないものか。その目的の下、10代から老年まで、あらゆる階層の人々を、何世代にもわたり追い続け調査し…、繰り返します。「人生で最も幸せなことは何ですか?」を質問したものです。
この質問に対して、いつの時代でも若い世代の80%以上の答えは、人生の幸せなことは「富を蓄えること」であり、「有名になること」だったそうです。富と名声。これが人生を滑り出した若者の人生の幸せなことです。誰もが若い時に持たないことはない価値観でしょうか。では、人生の円熟期に入った人々の人生の幸福なことはどうだったのでしょうか。余りに長期な研究なので所長も4人変わっていますが、4世代目の研究所長、心理学者ロバート・ウォールディンガーは言っています。「何万ページにもなる情報から研究結果が教えてくれたものは、どの時代でも円熟期の人の幸せなことは、“人間関係”という結果であった」と。
富でも名声でもなく、円熟した人々が考える人生の最も幸せなことは、“人間関係”に尽きたということです。
すべての人間関係の基本は、「出会い」と言えます。人は一人では生きていくことはできません。“人間関係”があるからこそ、人は幸せ
になるのです。友だち同士、兄弟姉妹、先生と生徒、先輩と後輩…。あなたは、何にも代えがたい“良い人間関係”をすでに持っているかも
知れません。そして、あなたの前に広がっている人生の旅の節目節目で、“驚くような人間関係”に出会うことになるでしょう。
私から5回にわたり、あなたにお話しをしてきました。自分の未来を大きく変える運命のしかけというものはある。そのための出会いは突然現れる。しかしその出会いの大切さに気づき、運命を手の中に収め努力を傾けると、驚くような展開と広がりが生まれる。振り返るとそんなお話だったでしょうか。人は幸せになるために生まれてきました。涙も笑顔もそのために必要なことです。どんな未来が待っているのか、どんな未来をつくっていくのか、楽しみですね。
未来を大きく変える驚くような運命のしかけ、不思議なくらいの出会いがあなたに必ず降り注いできますよ。その“人間関係”は、あな
たを幸せにし、また大きくするものです。最後となりました。また、どこかでお会いしましょう。
【高柳和之記】多忙な浅野目議員に無理をお願いしての連載でした。毎回、人生の指針となる含蓄の深い内容を執筆いただきました。『人との不思議な出会い』というタイトルでしたが、「出会い」があってもアンテナを張っていなければ感知できません。そして受け入れる素直さがなければ恩恵に浴することはできません。
浅野目議員は、小学校教員を経て25歳で上尾市議会議員、37歳で市議会議長(全国史上最年少)、41歳の時上尾市長選に出馬し次点、そし
て48歳から現在まで埼玉県議会議員です。
私とは県議になった2006年に面識を得、以降昨年まで13回のクリスマスカップには来賓として皆勤。またUSAの行事には、声をかけた時は必ず出席をいただいています。研ぎ澄まされた鋭い感性と正義感、情熱、行動力を持つ浅野目県議。ちなみに、奥様はそろばん1級です。