「共働きで給食がでないと手がかかる。といのうは口実である。

親なら寝ないでも、弁当をつくってやるべきではないか。
こういうお母さんのために、厳しい財政から中学校給食をやるというのであれば、
実施優先度は最低だ。私一人でも反対する。
中学一年生になったら自分の弁当ぐらい自分でつくれ、といいたい」

上尾市議会九月定例会での《市政に対する一般質問》では、中学校給食をめぐり、
「早く実施を」と迫る給食推進派議員と、「当分困難である」と言い切る市当局との応酬があり、
そのなかで友光恒上尾市長は厳しくこう答弁した。

「埼玉県内三十九市中、中学校給食がないのは、上尾市を含めて三市だけ。
調査によれば当市の父母の七〇%、生徒の四九%、教師の50%が実施に賛成との結果が出ている。
散在する他の様々な市民投票に比べ、かなりまとまった意思表示であるといえよう。
中学校給食完全実施という市民の要求に対して、昭和四十七年に検討委員会が設置され同会では給食はセンター方式で実施する」との答申を出した。

さらに、昭和五十五年には議会に市民一二八三名からなる陳述書が出され、
議員全員の賛成をみたという経過がある。

「こういった一連の盛り上がりから十年以上。なぜ実施をしないのか。当分とはいつまでなのか」
といった質問が続くなか「当分とは当分であります」と答弁をし、
歯切れの悪いことの否めなさを印象づけた市当局であるが、
背景には、市長の強い信念があるとみる関係者が多い。

「親が子に弁当をつくる。もしくは子が自分でつくる。
こういった教育の重要な一環をなぜ行政が肩代わりしなければならないのか」

この市長の信念が、市民要求とどうバランスをとっていくのか。今後も注目されるところである。