子どもを侮ってはいけない。じっといつも、大人の瞳を見つめ、言葉を聴いている。子どもは、大人の人間力を見ている。
まだ頼りない生命力、もどかしい判断力、あどけない知恵と知識。
子どもは、荒野の中に放り込まれたらひとたまりもない存在。
だから、きちんとした着地点に連れて行ってくれる大人の登場を、息を凝らして待っている。
子どもは、それに出会ったと気付いた時、どんなことをしてもその大人の言うことをエネルギーにしようとする。
そろばん教室USAに行ってみるがいい。
そろばん界の巨匠として知られる、高柳和之先生の響き渡る大きな声がしている。発電機のような、情熱の塊のような先生を私は他に知らない。
静寂の中の緊張と集中、達成できた時の安堵、そして笑顔の連続。
「技術だけではなく、人間力も鍛える」確信に満ちた言葉に、私は電気でうたれる。
先生は絶対に諦めない。「続けることの大切さ」を、父母に力説される。教師が燃えなければ父母も生徒も燃えるはずがない。よく言われることだ。しかし、実践されているのを見るのは稀だ。
そろばんは、世界でも突出した最高速外部記憶装置だ。
自己抑制の力、思いやりの心、悪を拒む強い精神も得られていく。
そろばんで頭と心が鍛えられていく。